発酵通信(よこて発酵文化研究所ブログ)
横手盆地発酵交換会が開催されました
「横手盆地発酵交換会」が10月8日(火)~14日(月・祝)の期間、横手市生涯学習館「Ao-na」やY2プラザなどを会場に開催されました。
「横手盆地発酵交換会」は、横手盆地内の発酵文化や酒蔵の歴史などを紹介することを目的に開催されました。
発酵文化の情報を展示した「発酵ミュージアム」や日本酒の試飲・購入が可能なスペースなど盛りだくさんの内容の8日間でした。
横手盆地は、日本一の盆地と言われ、盆地特有の豊かな自然環境で育まれた農産物、こうじによる酒や味噌づくりが盛んに行われてきました。今回のイベントでは、そういったこうじ文化を中心に地域の酒蔵などを知っていただくことが狙いです。
この記事では、10月12日に「Ao-naスタジオ」で開催された株式会社秋田今野商店 代表取締役社長 今野宏氏の講演「酒のルーツとこうじ」をご紹介します。
まずは当研究所 多賀糸所長より挨拶がありました。

続いて、今野社長より今野商店で1964年から発行している定期刊行物「温古知新」のバックナンバーをAo-naにご寄贈いただいたということで贈呈式が行われました。

次に、横手市副市長より挨拶がありました。

酒のルーツとこうじ
今回の講演では、日本の伝統的な酒造りがユネスコの無形文化遺産にまもなく登録されるのを機に、こうじ文化や酒のルーツに焦点を絞ってご講演いただきました。

ここ秋田は、米食において米と雑穀の割合が、9:1と他地域に比べだんとつに高く、米が豊富にとれたことが伺われます。このことからも麦を原料として麹ではなく、米を原料として糀が盛んに作られていたことが推察されます。


そのように豊富な糀文化を背景に、大豆1に対して麹が3という、大変高い比率で使用する味噌となりました。大手メーカーの味噌が大豆1に対して麹0.7程度ということを考えるとても贅沢な味噌といえます。昭和32年には県南に114軒もの糀製造所があったといわれています。

こうじを扱う発酵工業が、年商5兆円の市場であることもご紹介いただきました。
酒のルーツ

ヨーロッパを起源とする伝統的な酒造りが、東アジアにわたってきた経緯などを紹介いただきました。
古文書においては、稲麹から麹菌の採取したという記録が残っており、大陸から渡った麹文化が日本で改良され根づくまでの過程をお話いただきました。
また、FT事業協同組合の「熟成味噌ディフェンシン」の開発秘話などもご紹介いただき、皆さん真剣に聞き入っていました。
最後の質問コーナーでは、多くの質問が寄せられ、大変分かりやすくお答えいただきました。

11月か12月には、ユネスコの無形文化遺産に登録されます。今後、より世界からこうじ文化が注目されることが予想されます。